ライターの浜田 綾です。どさくさに紛れてこの登場を定着化しようとしています。

 

NASUグラフィックデザイナー/アートディレクターの前田高志さんにインタビューをしています。前編のインタビュー記事はこちらからお読みください。

では引き続き後編の記事をお届けします。


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質問4.ブログで工夫していることは何ですか?

 

自分を出し切ること、読みやすく魅せること

浜田
ブログ運営で工夫していることを教えてください。マインド的なことでもテクニック的というか方法論的なことでも結構です。

 

前田さん
2つあります。マインド的には「自分自身を全部出し切ること」を心がけています。

恥ずかしかったことも挫折も全部書いています。

 

もう一つは、これはテクニック的なこと…いうほどではないかもしれませんが、「読んでもらうために魅せること」を意識するようにしています。

自分で読んで「これしんどいなー」って思うような文章の書き方は絶対にしないです。

 

浜田
前田さんのブログって言葉が端的でダラダラ書かないですよね。

それも日ごろのデザインの作り方からきてるのかなって思いました。

 

前田さん
ありがとうございます!あ、でも最近文体を変えたんですよ。ちょっと偉そうに感じるかもしれない(笑)

考え方が変わったんです。前は割と遜って教える意識が強かったんですが、今は身近な人に自分の考えを淡々と伝えていく感じです。

 

浜田

偉そうとは感じませんよ。じゃあ検索は意識しなくなったんですか?

 

前田さん

全くしてないです!

一時期検索を意識していた時もあったけど、デザイナーを探す人って検索で探すものなのかなぁ?と思ったんですよ。

実際デザイナーって紹介で仕事をいただくことが多いんです。その方が安心だと思うんですよ。だって高額な料金を支払うのにあがってきたデザインがイマイチだったら困りますよね?

だから身近な人の方が話やすいし、意志の疎通もしやすいし何かあった時も言いやすいと思うんです。だから紹介の方が信頼できるかなぁと。

 

なのでSEOや検索は意識せずに身近な人に自分の価値が伝わるように書くようにしています。

 

浜田

なるほど、じゃあ身近な人に価値が伝わるように全部出して、読みやすさを心がけているということですね?

 

前田さん

そうです。

デザインでも文字は大事な要素なので読みやすさやレイアウト、文字バランスは意識するようにしています。これは「組版」というのですが、レイアウトをしている感じでブログを書いています。

 

浜田

前田さんのブログを最初に見て思ったのは、行間が特徴的ですよね。

 

前田さん
そうなんですか?

 

浜田

はい。

「行間までアートだ!」と思いました。ブログって文章以外で見やすくしたり魅せる要素がたくさんあるんだなーって気づかされました。

 

前田さん
そこはすごく意識しているので、そういってもらえると嬉しいです。

 

浜田

改行とか余白で魅せるってできそうでできないですよね。私もそうなんですが。やはり日ごろからデザインされていることが大きいんですかね?

 

前田さん
そういう工夫を気づいてもらって嬉しいです。

組版(紙のレイアウト)で目線の順番文字の大きさメリハリなどはとても重要です。それがブログでも出ているんだと思います。

すごく行間や文章が詰まっている文章ってしんどいんですよ。

 

浜田

気を付けます(笑)

 

前田さん
いや、全部詰まっていたらありなのかもしれないけど、半端に詰まっていると見づらい。

見出しがあって本文があって話が変わる時はちょっと間が空いている方がいい。

だからブログ運営ではそういうことは見やすくなるように意識していますね。

 

浜田

私は書くことは好きですが、改行やイラストなど見せ方は最初全然意識していませんでした。

アイキャッチ探すのも正直面倒だと未だに感じるので(笑)

 

前田さん
あ、でも僕最初に綾さんのブログ見た時にまだ改行とか全然してませんでしたが読みやすかったですよ。文章だけで最後までスラスラ読ませることもできるんだと思いました。

 

浜田

ありがとうございます!

では改行でバランスをとって読みやすい文章を書くようにされているということですね。

前田さん
そうです。イラストも間に挟んだりすることでさらに見やすくなります。

浜田
あ、イラストと言えば表情イラスト!私も書いていただきましたが、あれいいですね。

 

 

たくさん表情パターンイラストを作っていただきました!

怒り、涙、ダダ泣き

大笑い、笑顔、驚き

シーンに合わせて使うのが楽しいです。

 

前田さん
ありがとうございます。

僕の周りでも評判がいいんですよ。フリーになって初めてのイラストの仕事でした。

「イラストもいけるんや」っていわれました。

 

浜田

人によってタッチが違いますよね。

私のイラストとWEBデザイナーの原美穂さんに描いたもの、全然違いますもんね。

 

原美穂さんへのイラスト

前田さんの制作実績より

 

前田さん
あーそうですね。

原さんは最初綾さんのイラストを見て「ああいう感じで」と依頼されたのですが、状況が違うのでタッチを変えることを提案しました。

1人1人ケースが違うから、最適なものを提案したいんです。

 

浜田
書き分けられるってさすがですね。
前田さん
いやいや、まだまだバリエーションは少ないですが今後はイラストの可能性も広げていけたらいいなと思っています。

新しく始めた写真のサービスもイラストも、そこそこやれそうな手応えを感じています。

 

アートディレクターの仕事とは?

浜田

多彩ですね。前田さんはグラフィックデザイナーでもありアートディレクターでもありますよね。

アートディレクターは「作品の見た目を管理する仕事」で合っていますか?

 

前田さん
そうです。もっとくわしくいうと「見せ方の方向性の選定」と「クオリティ管理」ですね。一言で言うと「美術監督」です。

デザイン、写真、イラストなどを使って問題解決できるビジュアルを作ります。

本当はアートディレクションだけに専念してイラストレーター、フォトグラファーと組んで仕事をしていくことになっていくと思います。

 

THE BUTCHER(ザ・ブッチャー)の時はプロのカメラマンに依頼しました。

カメラマンに「こういう写真を撮りたい」って資料を用意したり、デザインはこういうものを考えていると説明したりしました。

 

作品の方向性を決めてクオリティ管理をするのがアートディレクターの仕事なんです。

浜田
なるほど。

 

参考:前田さんがデザインを手がけた大阪難波にあるお肉屋さん「THE  BUTCHER」の記事

【店づくり】THE BUTCHERのブランディングデザインの話

 

 

今のブログスタイルに至るきかっけ○○さんは前田さんに似ている!?

前田さん
あ、そうだ。行間の空き具合がいいなって思い始めたきっかけはアメブロの藤田社長が「渋谷で働く社長」というブログを書いているんですが、あの人のブログが好きだったんです。というか元々は本が好きだったんです。

 

この人の本はめちゃくちゃスラスラ読めるんですよ。

本屋で読んだ時半分くらい立ち読みですーって読めてしまったくらい読みやすくてこの人の文章好きだなって思いました。

 

ブログがすごい改行が空いてるけど意外と読みやすくて、すーっと頭に入ってきて伝わるんですよ。だからその人の影響があるかもしれませんね。

因みに藤田さんと僕って似ていませんか?(笑)

 

浜田

顔がですか?

私藤田社長の顔覚えてないんです。今検索していいですか(笑)?

 

前田さん
僕調べますね。

似てる写真があるんですよ!確か。

有名人で似ている人って言われたら僕はこの人かなって思うんです。

前田さん
あ、これですね。

似てませんか?

cakesインタビューより

浜田

あー似てます!

雰囲気とかよく似てますね。

 

前田さん
目は似てないけど輪郭とか似てる気がするんですよ。

因みに今もブログありますが、文体が少し変わってる気がします。昔はもっと改行がーっと秋気味でした。でもこの人文章上手いと思います。

 

浜田

なるほど。読んでみます。

 

質問4のまとめ

ブログ運営で工夫していることは、

マインド的には自分の全部を出し切ること。

テクニック的には改行、文字装飾、イラストを駆使して読んでもらうために魅せることを意識すること。

 


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質問5.ブログを運営していて印象的なエピソードを教えてください。

その1)全てをさらけ出したデザイナー前田シリーズが予想よりも好評だったこと

前田さん

さっきも話した通りブログには「全部出すこと」を心がけているので、それを書いた時に読んだ人の反応が良かったことですかね。

 

浜田

それは挫折したとかそういうことですか?

 

前田さん

そうです、デザイナー前田シリーズですね。

 

浜田

ああ、あれ好きです。

 

 

 

 

前田さん

最初に書いた30歳手前で転職しようとした記事は特に反響が大きかったです。

30歳手前に焦って転職しようとしてある有名なデザイナーに会いにいった話なんですがね。採用試験も受けたしその辺の経緯を赤裸々に書いたんですよ。

そしたら「同じ経験があります」とか「同じように30歳前に悩みました」みたいな反応があった。全然知らない人からメッセージをもらったりもしました。

 

こんなん誰が読むんだろうって思いながら書いたんですが、思いのほか反応がよかったことが意外でした。

自分を出すっていいことなんだと思いました。

自分はすごいんだとかカッコつけたり、どうしても自分を大きく見せようとしがちですが、弱みや恥を全部出した方が共感してくれたり、悩んでいる人の気持ちを楽にしたりと役立つことがあるんですね。

 

あと前の職場の上司も面白いって言ってくれましたね。「早々に辞めようとしてたんかい!」って怒られるかなって思ったんですがね。意外でした。

 

浜田

前田さんって任天堂っていうメジャーな会社の中で大きな仕事をたくさんして実績もある。そのような人でもこんな風に悩むことがあったんだなぁっていうのが私の感想です。

このシリーズ好きですが今高校生編で止まってますよね。

完結させてほしいです。

 

前田さん

ああ確かに!

任天堂入ってしまうとそこから先は書けないので、入る前で完結予定です。

 

浜田

前田さんがよく「自分を知ることが大事」っておっしゃいますよね。

デザイナーシリーズはそういうきっかけにもなっている気がします。

 

前田さん

ああ、そうですね。最初はそのために書いたんですよ。

自分を知ることの大切さは任天堂に入った時に上司に「自分のことを理解していないと良いものは作れない」と言われました。

最初はその言葉の意味がわかっていませんでしたが、今は良くわかります。

自分が何を「良い」と感じ何を「悪い」と感じるのか、これを理解していることが大事です。

 

その2)500はてブ超えしたこと

 

前田さん

それから印象的なエピソードと言えば、とある記事が500はてぶくらいついて炎上したことですかね。

 

「はてブ」とは…はてなブックマークというSNSサービス。このはてぶの数が多いとよくも悪くも炎上した証。

 

浜田

この記事ですね。「良いデザインを作るための5つの方法」500はてブってすごいですよね!

 

前田さん
密かにすごいことになってましたね。

 

浜田

あれはでも炎上なんですかね?

すごく良い記事だと私は思いましたし、はてぶのコメントを見てもそういうのが多かった気がしますよ。

 

前田さん

良いって言ってくれた人も多かったのですが、「感情論じゃないか」みたいな人もいましたね。

具体的な方法論って色んなケースがあるし、デザインって見た目を作るものだけじゃないんですよ。もちろん見た目の質も大事なんですがね。

だから見た目の大事さよりも大事だと感じていることを書いたんです。

 

こういう言い方をすると語弊があるかもしれないけど、僕は見た目のクオリティの細かさにはそこまで重きを置いていないんですよ。一番優先しているのはもっと大きなところで「デザインが機能するか」っていうことなので、そのためのマインド的な方法論を書きました。

 

浜田

本当に良い記事ですし、デザイナーに限らず仕事をする人皆に言えることだと思います。

因みにあんなに炎上すると思っていましたか?

 

前田さん

いやいや、全然思いませんでした。

あの記事は実は最初誤植が多くてそこをつっこまれたことがきっかけだったんですよ。だけどそこからの伸びがすごかったから驚きました。

 

浜田

500はてブってどういう心境ですか?

 

前田さん

落ち着きませんでした(笑)

そわそわして何回もブログ見てましたね。

「うわ、また増えてる!」みたいな(笑)

ちょうど、500を超えた時にブログをhttps(SSL化)したのではてぶ数は分断されました。

 

 

浜田

500はてブってブログ運営者皆が経験できることじゃないですからね。もちろん私もないです。

また炎上したいですか?

 

前田さん

いや、したくないです(笑)

怖いですね。

 

浜田

みなさんそう言いますよね。

挑発的な記事が炎上するのはわかるんですが、ああいう本当に良い記事で炎上することもあるんだなと思いました。

 

前田さん

良いって思ってくれているかはよくわからないんですよね(笑)

コメントなしのはてブが多いので真意はわかりません。

 

浜田

そうなんですね、良いって感じていると思うんですけどね私は。

その炎上の時はPV伸びましたか?

 

前田さん

伸びました!

8000PVくらいでした。

何かデザイナー向けのまとめサイトにも乗ったのでそこからのアクセスも多かったです。

 

浜田

おおーすごいですね!

 

前田さん

はてぶって大きいし、PVもまぁ大事ではあるけど今はあんまりSEOも意識していなくてさっきも言ったように「身近な人に向けて発信する」ことを大事にしています。

デザインに困っていて志の高い人そういう人に会いたいんですよ。検索で来てくれる大多数よりも数は少なくてもそういう人に出会えてお仕事できればいいって思っています。

 

浜田

わかりました。

ブログは集客手段や、表現手段であって目的はデザインすることですもんね。

前田さん

もちろんPVが上がれば嬉しいですが、自分のデザインのクオリティを上げることが最優先だと思っています。

 

その3)ブログを運営して、ブログのコミュニティを通して色んな人に会えたこと

 

前田さん
ブログを通してコミュニティに入ったりしてブロガー仲間が増えたのも大きいですね。

僕人見知りする性格なので正直ブロガー飲み会とかあんまり興味がなかったんですが、行ってみると楽しいし色んな人に知り合えるので結果的によかったと思っています。

 

浜田

同感です。

確かに最初にお会いした時前田さん全然しゃべりませんでしたね(笑)

 

前田さん
そうだったかな(笑)?

あ、でもそうかもしれない。

人見知りしていたんです。

 

浜田

ではこれから前田さんにリアルで会う機会がある方は、前田さんは人見知りする性格なのでどんどん話かけてくださいって書きましょうか?

 

前田さん

ああ、いいですね(笑)

話しかけづらいかもしれませんが、どんどん話かけてください。僕もこれからはがんばって積極的になります。

 

浜田

だそうです!みなさん、前田さんにこれからお会いする方は臆せずに話しかけてくださいとのことです!

 

おわりに

前田さん、この度は拙いインタビューを受けていただいてありがとうございました。

インタビューはテーマに沿って会話を深く掘り下げること、本筋からそれないこと。あと楽しいこと。そういうことを意識して臨みました。
「難しかった」部分もあるものの「楽しかった」が圧倒的に大きい。

機会があれば他にもインタビューを経験してみたいなと思っています。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

おしまい


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ABOUTこの記事をかいた人

浜田 綾

ライター/コピーライター/エッセイスト 1981年生まれ 大阪府高槻市在住 企業で10年間ビジネス文書の作成に携わる。 同年7月電子書籍「ペコのプチエッセイ」を出版。 編集者、コピーライターとして活動の幅を拡大中。 幻冬舎・箕輪厚介氏主催の箕輪編集室にて「嫌われ者たちのリレー式コンテンツ会議」の編集リーダーを務める。2017年6月に「コトバノ」という屋号でフリーランスとして開業。